相手の事情は分かった。で、私はどうする?|夫婦関係と自分の気持ち

「夫がすぐ怒鳴るんです」
「何を言っても聞いてくれません」
「夫の機嫌を損ねないためには、どうしたらいいでしょうか?」
夫婦関係の相談では、こんなお話を聞くことがあります。
怒鳴られるのは嫌だし、喧嘩もしたくない。できれば穏やかに暮らしたい。
でも、どうすればいいのか分からない。
そんなとき、私はまず、「二人の間で何が起きているのか」を一緒に整理することを大切にしています。
夫は、なぜ怒鳴るのでしょう?
例えば、夫が怒鳴った。
妻に不満があるのでしょうか。仕事のストレスでしょうか。それとも、妻を自分の思いどおりに動かしたいのでしょうか。
夫は一人で静かに過ごしたかったのに、妻は今日の出来事を聞いてほしかった。そんな希望の食い違いがあったのかもしれません。
理由はいろいろ考えられますし、分からないこともあります。
ただし、ここははっきりさせておきたいところです。
どんな事情があっても、怒鳴って相手を威圧したり、暴力を振るったりしてよい理由にはなりません。
では、なぜ相手の事情を理解しようとするのでしょう?
それは、我慢する理由を探すためではありません。
これからどうするかを考えるためです。
「あなたはそう考える。でも、私は違う」
例えば、夫が「家事は妻がするものだ」と考えていたとします。
一方、妻は「家事は夫婦で分担したい」と思っている。
夫がそう考える背景を知ることはできます。
でも、だからといって、妻も同じ考えになる必要はありません。
「あなたはそう考える。でも、私は違う」
まずは、心の中でそう整理してみる。
相手が不満を感じたからといって、自分が間違っているとは限りません。
そして、相手の考えが分かっても、すぐに問題が解決するとは限りません。
何度話しても平行線。話そうとすると怒鳴られる。
そんなときこそ、相手の希望と自分の希望を分けて考えることが大切です。
相手は何を望んでいるのか。
私は何を望んでいるのか。
まずは、そこから考えてみませんか。

変えてもいいこと、変えたくないこと
相手の事情を知ることで、自分の考え方が変わることもあります。
例えば、休日。
妻は夫婦で出かけたい。でも、夫は家でのんびりしたい。
よく考えてみたら、毎週一緒に出かけなくてもいいのかもしれません。
月に一度は二人で出かけて、あとは自由に過ごす。
海が見たければ、一人で行くのもいいですよね。海は逃げませんし。(笑)
一方で、どうしても大切にしたいこともあるでしょう。
仕事を続けたい。自分の時間を持ちたい。親や友人との付き合いを大切にしたい。
何を変えてもよくて、何を大切にしたいのか。
それを自分で考え、選べることが大切なのだと思います。
ただし、相手が怖くて従わざるを得ないことと、自分が納得して選ぶことは違います。
私の世界、相手の世界、そして二人の関係
私は、人間関係を考えるとき、二つの円が一部重なっている図を使うことがあります。

一つは「私の世界」。
もう一つは「相手の世界」。
そして、重なっている部分が「二人の関係」です。
私には私の気持ちや価値観があり、相手には相手の気持ちや価値観があります。
違う人生を歩んできた二人なのですから、考え方が違うのは自然なこと。
二人で一緒にできることもあれば、それぞれが大切にしたいこともあるでしょう。
二人の関係は、どちらか一方が自分の世界を手放してつくるものではないと思うのです。
そして、関係をつくっていくには、相手にもその意思が必要です。
こちらの希望を聞こうとしない人もいれば、自分の考えに従うことばかり求める人もいます。
そんなとき、二人の関係をどうするかは、一人の努力だけでは決められません。
では、これからどうする?
さて、相手の事情が分かった。自分の気持ちも少し見えてきた。
次は、どうしましょう。
まず、今の二人は話し合える関係でしょうか。
話し合えるなら、お互いの希望を伝え、新しいルールを考えることもできるでしょう。
では、話し合えない場合は?
何度も説明する。分かってもらおうと努力する。
それでも状況が変わらないなら、同じことを続ける以外の方法を考えてもいいのです。
例えば、相手を説得することから少し離れて、自分の生活や気持ちを整える。
これからの暮らしに何が必要なのか、情報を集める。
信頼できる人や専門家に相談する。
距離を取ることも、選択肢の一つです。
夫婦関係を続けたいからこそ、距離が必要になる場合もあります。
ただし、暴力や脅し、監視などがある場合は、距離を取ろうとすることが危険につながることもあります。そんなときは、無理に行動せず、安全を優先して専門機関に相談することが大切です。
相手を変えることは難しくても、
自分がこれからどうするかを考えることはできます。
すぐに行動できなくても構いません。
まずは、自分にどんな選択肢があるのかを知ることから始めてもいいのです。

理解した。そのうえで、私はどうしたい?
相手の事情を知ることで、今までとは違う見方ができるかもしれません。
自分の考えを見直すこともあれば、やっぱり譲れないと思うこともあるでしょう。
関係を続けることも、関わり方を変えることも、距離を取ることも。
答えは一つとは限りません。
私が大切にしているのは、この言葉です。
「あなたの考えを理解したい。でも、私にも大切にしたいものがある」
相手のことも、自分のことも大切にしながら、これからの関係を考える。
もちろん、相手がそれを望まないこともあります。
だからこそ、自分はどんな人生を送りたいのか、という視点も忘れずにいたいですね。
自分の人生を、誰かの正解で決めない。
まずは、そこから考えてみませんか。

