DVをする人はなぜ気づかないのか?「正しさ」の裏にある支配とコントロール
― 支配は“正しさ”の顔をして現れる
DVというと、
「悪いことをしている人」というイメージを持たれがちです。
しかし実際には、
本人がDVをしていると気づいていないケースが少なくありません。
「相手のため」と思っている
DVをしている側は、こう考えていることがあります。
- 「あなたのために言っている」
- 「間違っているから正してあげている」
- 「ちゃんとした人になってほしいだけ」
つまり本人の中では、
👉 “教育”や“指導”をしているつもり
なのです。
ですがここで起きているのは、
対等な関係ではありません。
相手を「自分の基準に合わせようとする」関わりです。
「傷ついているのは自分だ」と感じている
さらに特徴的なのは、
👉 加害側が「自分が被害者だ」と感じていること
です。
例えば、
- 「言うことを聞いてくれないからつらい」
- 「こんなに頑張っているのに分かってもらえない」
- 「裏切られた気持ちになる」
このように、
自分の苦しさを理由に相手をコントロールしようとする状態になります。
DVの本質は「支配とコントロール」
DVは、怒りの問題でも性格の問題でもありません。
本質はシンプルです。
👉 相手を思い通りにしようとすること
そのために、さまざまな手段が使われます。
■ コントロールの手段
― 見えにくい支配の形
DVにおけるコントロールは、
殴る・怒鳴るといったわかりやすいものだけではありません。
むしろ多くは、
日常の中に溶け込んだ“見えにくい形”で行われます。

① 言葉によるコントロール(否定・責任転嫁)
- 「お前が悪いからこうなる」
- 「そんな考え方おかしい」
- 「普通はこうするものだ」
👉 否定を繰り返されることで、自分の考えに自信が持てなくなる
② 感情を使ったコントロール(罪悪感・不安)
- 「こんなにしてあげてるのに」
- 「俺を怒らせるお前が悪い」
- 「そんなことするならもういい」
👉 相手に罪悪感や不安を与えて、従わないと関係が壊れると思わせる
③ 態度によるコントロール(無視・不機嫌)
- 急に無視する
- 不機嫌な態度を続ける
- 会話を遮る
👉 はっきり言葉にしなくても、空気で支配する
④ 優しさを使ったコントロール(優しさと冷たさの繰り返し)
- 急に優しくなる
- プレゼントや謝罪をする
- 「やっぱり大事だ」と言う
👉 「本当は優しい人かもしれない」と思わせることで、「期待」と「不安」の間で揺れ続けるため、関係から離れにくくなる状態がつくられていきます。
⑤ 行動の制限(自由のコントロール)
- 友人との関係に口を出す
- 外出や連絡を制限する
- お金の使い方を管理する
👉 相手の行動範囲を狭め、自分の影響下に置く
⑥ 現実のゆがめ(混乱させる)
- 「そんなこと言ってない」
- 「お前の勘違いだ」
- 「考えすぎだ」
👉 相手の認識を揺らし、自分の感覚を信じられなくさせる
■ 共通していること
これらに共通しているのは、
👉 相手が“自分で考えて選ぶ力”を奪うこと
です。
■ 見分けるヒント
もし関係の中で
- 自分の意見を言いにくい
- 相手の機嫌を優先している
- 判断に自信が持てない
そう感じているなら、
それは単なるすれ違いではなく、
コントロールが起きているサインかもしれません。
DV関係には「上下関係」がある
一見すると恋人や夫婦であっても、
DV関係の中には明確な構造があります。
👉 上に立つ人(支配する側)と
👉 下に置かれる人(従わされる側)
この構造が固定されていくと、
- 意見を言えなくなる
- 逆らうことが怖くなる
- 自分の感覚を信じられなくなる
という状態が生まれます。
対等な関係との違い
本来の人間関係は、
- 意見が違ってもよい
- お互いに選択の自由がある
- どちらかが上でも下でもない
という「横の関係」です。
一方でDVは、
👉 縦の関係(上下関係)になっている
という決定的な違いがあります。
なぜ気づきにくいのか
DVがわかりにくい理由は、
👉 「正しさ」や「愛情」の形をしているからです。
- 心配しているだけ
- 良くなってほしいだけ
- 家族だから当然
こうした言葉によって、
支配が正当化されてしまいます。
まとめ
DVは、単なる暴力ではありません。
- 本人が気づいていないことが多い
- 「相手のため」という形で現れる
- 加害側も「自分が傷ついている」と感じている
- 本質は支配とコントロール
- 関係の中に上下構造が生まれている
最後に
もし関係の中で、
- 自分の意見が言えない
- 相手の機嫌に左右される
- 自分の感覚がわからなくなる
そう感じているなら、
それは単なる性格の問題ではなく、
関係の構造の問題かもしれません。

